ITIL® ファンデーション ITIL 4 エディション
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感想
ITIL がどういうものなのかをざっくりと知るには良い書籍だった
一方で、具体的だったり実践的だったりするプラクティスなどは書かれておらず、実践に活かせる知見を得ることは難しい
サービスマネジメントの考え方の概要を知るための書籍、というような位置づけだと思うと良さそう
内容メモ
1. はじめに
1.1 : 現代の IT サービスマネジメント
サービス : 組織が、組織とその顧客のために価値を創出する主要な方法 ほぼすべてのサービスが IT 対応になっているので、IT サービスマネジメントは重要
1.2 : ITIL 4 について
1.3 : ITIL 4 フレームワークの構造と利点
2. サービスマネジメントの主要概念
2.1 : 価値および価値共創
かつてのサービス・プロバイダは、価値の提供を宅配便を配達するかのように考えていた
現代では、プロバイダと消費者の積極的な協働を通じて価値の共創が行われるという認識が広まってきた
一方向の関係ではなく、双方向の関係
消費者がサービスバリュー・チェーン内の創造力に富んだ協力者になれるように支援していくべき
2.2 : 組織、サービス・プロバイダ、サービス消費者およびその他の利害関係者
ある組織が、あるときはサービス・プロバイダであり、あるときにはサービス消費者になる、ということがありえる
「サービス消費者」 というのは役割の総称で、実際には下記のようなより具体的な役割がある
顧客 : サービスの要件を定義し、サービスを消費した成果に対して責任を負う
ユーザ : サービスを利用する
スポンサ : サービスの消費の予算を承認する
プロバイダと消費者のほかにも利害関係者は存在する
プロバイダ組織の従業員や、パートナーやサプライヤ、株主や規制機関などの政府機関、社会集団など
組織の成功や存続のために、全ての重要な利害関係者との関係を把握および管理しておくことが重要
2.3 : 製品およびサービス
製品 : (サービス) 消費者に価値を提供できるように設計された、組織のリソースの構成
サービス提供物 : 消費者グループのニーズに対処するための、1 つまたは複数のサービスの形式的な説明
物品 (携帯電話など; 所有権は消費者に譲渡される)、リソースへのアクセス (モバイルネットワークへのアクセス権など)、サービス活動 (ユーザーサポートなど) などが含まれる
2.4 : サービス関係
サービス関係 : サービス・プロバイダとサービス消費者の間の協力関係。 サービス供給、サービス消費、サービス関係管理が含まれる
2.5 : 価値: 成果、コストおよびリスク
アウトプット : 活動の成果物 (有形または無形)
例 : フォトサービスのアウトプットとしては、アルバム
成果 : 1 つまたは複数のアウトプットにより可能になる利害関係者にとっての結果
例 : フォトサービスの成果としては、記憶が保存されること、あるいはその写真に関係している人が、写真を見て簡単に記憶を思い出せるようになること
サービス消費者の観点では、サービス関係に伴うコストは 2 種類
サービスによって消費者から取り除かれるコスト (価値提案の一部)
サービスによって消費者に課されるコスト (サービス・プロバイダから課されるものだけでなく、トレーニングコストなども)
同様に、リスクも 2 種類
サービスによって消費者から取り除かれるリスク (消費者のサーバ・ハードウェア障害やスタッフの可用性欠如など)
サービスによって消費者に負わされるリスク (取引の中止やセキュリティ侵害など)
3. サービスマネジメントの 4 つの側面
4. ITIL サービスバリュー・システム
4.1 : サービスバリュー・システムの概要
サービスマネジメントが適切に機能するためには、1 つのシステムとして機能する必要
SVS の目的 : 組織が製品およびサービスの使用と管理を通じ、利害関係者と協力し、継続的に価値を創造できるようにすること
組織が効率的に活動したり、アジャイル性や対障害弾力性を高めるうえで取り組まなければならない最大の課題のひとつ : サイロ ITIL SVS のアーキテクチャはサイロ化された業務を解消する コラム : アジリティと対障害弾力性
組織を成功に導くために、以下を実現する必要
内部の変化を促進する組織の俊敏性 (アジャイル性)
変化する外部の状況に耐え、その中で成長するための組織の対障害弾力性
組織の優先順位と達成目標についての共通理解がなければ実現できない
より大きな組織のエコシステムの一部として組織を考える必要もある
4.2 : 機会、需要、価値
機会 : 利害関係者にとっての価値を高めたり、組織を改善したりするための選択肢や可能性
需要はまだないかもしれないが、システム内で業務を開始するきっかけにすることができる
需要 : 内部顧客または外部顧客から寄せられる製品およびサービスに対するニーズや期待
4.3 : ITIL の従うべき原則
4.4 : 組織ガバナンス
4.5 : サービスバリュー・チェーン
4.6 : 継続的改善
あらゆるレベルで継続的改善をするために ITIL SVS に含まれるもの :
改善の取り組みを計画するときには、最も優先度の高い作業に注力することが重要
制約条件の理論 (ToC) によると、システムの流れとスループットはバリューチェーン内の最大の弱点によって決定される 弱点が情報システム開発にある場合は、アジャイルの原則とプラクティスの適用で改善できる
業務部門と IT 部門とのやり取りについては、ITIL 4 プラクティスのソフトウェア開発と管理、事業分析、関係管理などが役立つ
展開の速度と信頼性が弱点になっている場合は、DevOps の原則と技術的なプラクティスやツールで改善できる
ITIL 4 プラクティスでいうと、展開管理、リリース管理、組織変更管理など
IT サービスの提供とサポートが弱点になっている場合は、運用に関するプラクティスやツール
インシデント管理、問題管理、サービスデスク、インフラストラクチャ、プラットフォーム管理などの ITL 4 プラクティス
5. ITIL 管理プラクティス